クロノスでサロベツ・オホーツク

ローレルの次はクロノスだが、決定までには時間がかかった。仙台周辺で開催された中古車フェアに何度か足を運んだが、ピッタリのが無かった。そんな時、宮城マツダ販売の広告に、クロノスセダン2000 V型6気筒ツインカム、1991年製の試乗車で走行距離は17,610Kmと言うのを見かけた。車雑誌で調べると、セダンとは言えスポーティーカーのジャンル。
早速出かけて行き、試乗してみて驚いた。ローレルのつもりでアクセルを踏んだら、それこそスーッと発進した。出足が何とも軽い。思わずアクセルを離してしまった。街中の走行も快適である。気持ちはもうこれに決めていた。後部座席に乗っていた妻も気に入った様子。あとは価格の交渉。こちらからは雑誌に載っていた同程度の中古価格を見せた。交渉の結果、最初に提示された価格より10万円ほど安い130万円弱にしてくれた。
※1994年12月23日撮影、ローレルは一時的に向かいの家の駐車場に置かせてもらった。

クロノスでのドライブで、最も思い出深いのはサロベツ原野→宗谷岬→浜頓別→旭川の北北海道コース。
1998年6月25日、まだ一度も行った事の無いサロベツ原野に向けて出発。トンネルの多い雄冬経由は避け、空知街道から留萌に抜けるコースに決定。 トンネルと言えば、豊浜トンネル崩落事故(1996年2月10日)が起きてからは自称閉所恐怖症の妻が嫌がった。

行程を見てみよう。
1.札幌→留萌
裏道コースの開拓をあまりしていない時期だったので、留萌まではR275、R233と国道を使った。このコースは「雁来大橋」を抜けるとあとは快適。

2.留萌→天塩
国道沿いの観光食堂で昼食をとる。旅のせいか気が大きくなって「いくら丼」を注文。どこにでも売っている「いくら」と言う感じで特別なものでは無かった。また「いくら」そのものも多くなく、2,000円は観光値段。どこでもそうだが観光地で食べる場合は要注意。値段と味が比例していないことが多い。味の噂を聞きつけ目指して行くと言うのでなければラーメンが一番と思っている。これだと、それなりなので大きな不満にはならない。
ラーメンで無かったらコンビニのおにぎりを買って車の中で食べる。この方が満足度が高いので、その後はこれを採用するケースが増えて来た。

3.天塩→稚内
当時、海岸線の状態がどうなっているか分からず、R232を行くべきかどうか迷ったが杞憂だった。海岸線の道は全線舗装されていて快適そのもの。原生花園の中を北に向かってまっしぐら。大まかではあるが、一応日本各地の有名どころを見て回った経験からすると特にお勧めのコースだ。それに、もし利尻山を拝むことが出来ればそれはもう幸運と言うしかない。話によると夏は上昇気流が発生しやすいので希にしか見ることが出来ないとか。私の場合もそうだった。雲しか見えなかった。それがまた魅力とも言える。

ポスター写真のような情景を一度でいいからお目にかかって見たいものだ。またいつか挑戦しようと思い今に至ってしまった。サロベツの原生花園は時期が少し早かったのか、まだらにしか咲いていなかった。でも広さは特別。どこから始まってどこで終わっているのか分からない位だった。この先、実現するかどうか分からないが、花一面のサロベツ原野と利尻山の映像が撮れたら言う事なし。
※左の灯台はノシャップ岬から撮った稚内灯台

4.稚内→浜頓別宗谷岬を過ぎてオホーツク街道に入ると、波が穏やかになって来た。宗谷岬ではあれほど強い風が吹いていたのにそれが凪いでいる。不思議だ、オホーツクのイメージからはほど遠い。ここのコースもまたいい。

日本海側とは違って地形がなだらかである。所々に牛や馬がのんびり草を食べている姿が見える。それもポツポツとしか見えない。牛や馬たちが人間に管理されることなく柵のない広大な草原の中で自由に暮らしている。こう言った場所なら、少しは幸せな人生?を送れるかもしれない。

周りが段々暗くなってきたので、今日泊まるところを探す事にした。宿泊地を浜頓別に決め宿を電話ボックス内の電話帳で探した。いつものパターンである。予約して行くより自由度があって性に合っている。このスタイルで泊まれなかったことはこれまで一度もない。

宿の夕食時間から外れていたので、ペンション「小石(さざれ)」の女将に近くの居酒屋を紹介してもらった。その名は居酒屋「暮六」。何しろ、16年前の話だから、もうないかも知れない。
ペンションの女将さんが言うには変わった所だが味が良いと言う。何が変わっていたかと言うとメニューがないのである。開口一番「取りあえず1,500円で3品、これでいいですか」と来た。お任せなのである。こちらに選択権は無い。その日仕入れた物をマスターの一存で料理するのである。流石、海に近いだけあって魚は新鮮だ。常連が釣って来たのをその場で調理して出してくれた。
こんなの初めてだ。一品、一品マスターの口上を聞きながら食べる。一方的に話さすのでは無く料理法について、いろいろ聞いてみると答えてくれた。その中で「チェリー酢」と言うのがあった。非常に強いものでこれでないと駄目だという。旭川で作っていると言うが、札幌のスーパーマーケットなどには売っていない。どこで買うことが出来るのであろうか。もし、未だ営業しているならば、またぷらっと行って見たい店である。
●当日の菜単(メニュー)
1.カレイの煮付け 2.ホタテの刺身 3.たこの唐揚げ 4.つぶ貝 5.小ガレイの唐揚げ(ここでチェリー酢の話が出て来た。) 6.黒頭(黒ガレイの事と思うが)のお造り(常連客が釣って来たもの) 7.きゅうりの醤油漬け 8.サッポロ生ビール 9.日本酒・辛丹波 締めて、二人で6,500円くらいであった。

5.浜頓別→札幌
ペンション「小石(さざれ)」で飲んだ牛乳のおいしいこと。特別なものではなく、一般市販品である。ただ製造地が地元と言うだけである。まず色が違う。それこそ乳白色をしている。こってりと舌にまつわり味は牛乳そのものだ。昨日見た牛からとったのなら、この味も納得。十分な栄養と運動の成果である。札幌に帰ってきてから、色々なメーカーの牛乳を注意深く飲み比べてみたが、どれもこれにかなう物は無かった。
翌日はクッチャロ湖をチラッと見学し、雄武方面に向かった。
海岸線も飽きたので、興部で山に入ることにした。滝上公園であの有名な「芝桜」を見たつもりになる。途中、帰宅後の一杯用の酒を旭川の「男山酒造」にて購入。あとはひたすら札幌を目指した。

6.メモ
・出発:1998.06.25 AM09:10、帰宅:1998.06.26 PM9:30
・札幌‐浜頓別:451km、浜頓別‐札幌:424km、全走行距離:875km、消費燃料:67リッター、燃費:13.1km/l、ガソリン代:5,800円
・車:マツダ クロノス4ドアセダン V6 DOHC 2000 1991年型
・購入酒銘柄:男山 原酒 720ml ¥1,400
旭川市「男山酒造酒造り資料館」の限定販売品。資料館には「酒造り三百年 木綿屋の歴史」が展示されていた。
・公開:2014年12月11日